政策宣伝広報委員会だより
医療・介護・福祉・法曹・保険者があつまり 「健康保険証を残せ!」
市民シンポジウムに80人超
2023.10.05
シンポジウムでは、協会の森岡芳雄副理事長が基調報告。
医療機関を受診する患者のマイナカードの利用率がわずか6%であること、マイナンバーカードを用いた資格確認プロセスの複雑さが医療機関にも患者にも負担をかけており、さらにシステムの不具合や資格情報の間違いなどによる混乱も起こっていると、医療現場の実情を紹介。受診時に顔認証でエラーが発生し、障害者が受診できなくなった例も紹介した。
同様の混乱が介護現場でも発生しており、介護施設の93.5%は利用者・入所者のマイナカード申請に対応できない、94.0%はマイナカードの管理(暗証番号を含む)が難しいとしている状況であるとした。
そして、マイナンバーカード普及の政府の狙いについて、森岡先生は、(1)政府による個人資産の把握と負担の増加、(2)民間事業者によるビジネスチャンス拡大、(3)新たな利権構造があると指摘した。
また、政府はマイナンバーカードを持たない被保険者に対し、申請がなくても紙製のカードを交付すると説明しているが、現行の保険証とサイズや材質も実質の機能も変わらなければ、「保険証廃止」の必要はないと指摘した。
パネリストからの報告では、神戸土木建築労働組合の大井昌司書記長が、建設国保組合の保険者としての立場から「建設国保では、保険証の更新時に新しい保険証の交付会を行い、健康診断の受診の呼びかけや国保組合の事業内容の冊子などを配布し、より身近な国保を目指して取り組んでいる。保険証が廃止されれば、そうした取り組みができなくなり、保険者機能が弱まってしまい、被保険者の健康を脅かすことになりかねない」と訴えた。
また、兵庫障害者連絡協議会の井上義治事務局長は、協議会に参加する障害者団体に聞き取った結果として、視覚障害者がマイナ保険証で受診しようとした際に、カードリーダーのタッチパネル操作ができず、資格確認が行えなかった等の事例を紹介し、障害者を医療から遠ざける保険証廃止は中止すべきだと述べた。
他にパネリストとして、社会福祉法人駒どりの岸本和則専務理事、自由法曹団兵庫県支部長の松山秀樹弁護士が登壇し、それぞれ介護現場・法律家の立場から保険証廃止の問題点を訴えた。