政策宣伝広報委員会だより
10・26秋の歯科決起集会・国会要請行動
「保険でより良い歯科」実現を
2023.11.25
議員要請では、宮本岳志衆議院議員(共産)と福島瑞穂参議院議員(社民)と面談。
白岩副理事長が75歳以上の窓口負担2割化で歯科に受診抑制の影響が出ていること、冨澤評議員が全日本民主医療機関連合会発行『歯科酷書-第4弾-』を紹介し、コロナ禍で格差が拡大しそれが口腔崩壊に顕著に現れていること、川西参与が歯科医療費の大幅拡大が強く求められていることなどを訴えた。
宮本議員は「お金の心配なく安心して歯科医療を受けることは国民の願いだ」「政府と財界は、ビッグデータを活用して巨額の利益を得るためにマイナンバーカードを強制している。そのための保険証廃止は大問題だ」「岸田首相の言う1回のみの所得減税は国民の生活実態に見合っていない。国会で追及していく」などと述べた。
福島議員は、「知り合いの歯科医師も、経営の困難さを訴えていた。厚労委員会でマイナンバーカードの保険証利用は、将来的に保険証の廃止やマイナンバーカード取得の事実上の強制にならないかという質問をし、政府はずっと『そのようなことはない』と答弁していた。まさに、予想通りの展開となっているので、何としても保険証を残すために、ともに頑張りたい」などと述べた。
歯科集会
低診療報酬改善を
雨松氏(全国連絡会会長)は基調報告で、「国民皆保険制度にもかかわらず、患者・国民は、いつでもどこでもお金の心配をせずに歯科受診できるようになっていない。窓口負担引き下げ、保険適用範囲拡大、歯科医療費大幅拡大で、保険でより良い歯科医療を実現しよう」と述べた。
全国各地の取り組み報告の中で、泉氏は、「40年間歯科技工料は低いままで、今でも一日16時間働かざるをえない状況だ。物価高騰もあり生活していけない。診療報酬引き上げ、労力に応じた委託技工料設定を」などと訴えた。
島津評議員はフロアから「開業した時は歯科技工士・歯科衛生士・歯科助手といっしょになって患者に向き合ってきたが、今の低診療報酬では満足な雇用ができない。岸田首相は賃上げというが、診療報酬は上げない」「保険証廃止は許せない。川西市議会に保険証存続を求め請願を行う」などと発言を行った。
集会では、井坂信彦・桜井周両衆議院議員(いずれも立憲)が激励の挨拶をした。
「保険でより良い歯科医療を求める」署名の紹介議員は、面会した宮本・福島各議員、集会に参加した井坂・桜井各議員のほか、大石あきこ(れいわ)衆議院議員・舩後靖彦(れいわ)・山下芳生(共産)両参議院議員が引き受け、兵庫の署名1104筆を受け取った。提出した歯科署名は累計6894筆となった。
集会終了後には、「歯科技工問題を考える厚労省要請」が行われ、歯科技工学校の閉校が相次ぐ中、養成機関への助成制度の創設など対応策の実施、「7対3」に準じた取引を実現するための実効的なルールの策定などを求めた。
参加記
「保険でより良い歯科」へ歯科技工士と共闘を
評議員 島津 俊二
国会内における、全国歯科決起集会に数年ぶりに参加してきました。2020年2月以降のコロナ禍で、社会も医療現場も困窮して、参加を中断していましたが、今回は何としても参加せねばとの強い思いで参加しました。
議員懇談も、日本共産党・宮本岳志衆議院議員と社会民主党・福島瑞穂参議院議員と面会し、マイナ保険証問題とオンライン資格確認の業務に関わる誤作動及び、通信業者(NTT)に偏りがある問題を指摘しました。
また評議員の冨澤先生より、コロナ禍における、親子間にともに口腔崩壊をきたしている点について紹介があり、わたくしも生活保護受給者の口腔崩壊問題、人権問題としての捉え方、歯科医療においてみられる貧困について意見を述べ、懇談してまいりました。
両先生は理解を示してくれましたが、政権与党議員がなぜ関心を示さないのか、ぜひ聞いてみたいと思いました。
決起集会の討論、発表に関しては、かなり問題点を感じました。またフロア発言もしましたので、報告させていただきます。
コロナ禍以前にも、何度か参加させていただきましたが、驚くべきことに何も変わっていないのです。以前は7対3問題や、歯科技工所による直接請求ではダメなのか? 技工所がつぶれてもいいのか! という問題提起だったと思います。
しかし現在は、より深刻さを増し、技工所は減少が進み、歯科技工士の高齢化と過重労働、技工士学校の定員割れとなっています。かつて、歯科衛生士の減少傾向を受けて、その仕事の範囲を拡大し、保険点数においても一定の衛生士評価を作って対処したことと対称的に、歯科技工士・歯科技工問題には出口が見いだせていないと感じました。
何が原因かは簡単に指摘できませんが、歯科医師側と技工士側とが、まるで対決しているかのような姿勢が、何も変わっていないのです。
かつて私が、40年ほど前、歯科医院を任されたころは、患者の義歯制作に関して、患者は障がい者の方が多かったのですが、一人の患者に対して、衛生士と歯科医師と技工士が相談し、歯科助手も一緒になって治療計画を立て、診療を一体としてきたものでした。
いつの間にか、院内技工では技工士家族を養えない時代となり、たくさんの技工所が独立し、過当競争となり、大手の歯科技工会社がその就職先となりました。そうした技工所は利益追求のためか、歯科医師側との大きな対立関係を生んでいるのではないかと推測します。
「決起集会」の後、1人の技工士と話す機会があったのですが、そこで問題となったのは、保険の義歯では生活ができないとの発言と、医院まで出向き、製作した義歯の調整の相談をするそうだということでした。今の歯科医師の義歯印象や調整技術の低下を真っ先に疑いました。なんとも恥ずかしいことです。
『保険でより良い歯科医療を!』という、スローガンを真っ向から否定する事実です。
かつて歯科衛生士は、観血的処置を否定され続けてきましたが、時代の流れでその範囲を広げてきました。技工士の直接請求問題はいったん棚上げし、歯科技工士側と共闘してやるべき時が来ていると痛感します。歯科医師の管理下で技工士が直接患者と接することができるようにし、請求は制作過程において点数を分割することも一案です。
『保険でより良い歯科医療!』実現のためには一緒に闘わなくてはいけない時が来ています。決して安易に【自費】に逃げてはいけないのです。
今回『保険でより良い歯科医療!』、以前より訴えていた兵庫県のスローガンが陽の目を見たのは喜びでした。
われわれが普段行っている歯科治療に誇りを持ち、より良いものにしていこうという趣旨が通じた思いでした。