兵庫県保険医協会

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医療崩壊を防ぐための医師増員を求める署名ご協力を 理事長  西山 裕康

2024.08.29

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今号同封の「医師増員を求める署名用紙」

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 4月1日から始まった「医師の働き方改革」により、勤務医の残業時間は原則年960時間、研修医や地域医療を担う勤務医については年1860時間に制限されます。
 しかし、EUでは医師の残業時間は年間約400時間が上限と言われており、日本の勤務医の過重労働は先進国の中でも異常な水準です。弁護士からも、医師の過酷な働き方は自死すら招きかねず、憲法13条(個人の尊厳)、14条(法の下の平等)、25条(生存権)、18条(身体的自由)に抵触しているとの指摘があります。
 医師はスーパースターではありません。医師の労働時間に上限が設けられたことは前進ですが、最大1860時間という規制は、一般の労働者の2.5倍以上の時間外労働を容認するもので、問題があると言わざるをえません(図)。
 一方で、地域の病院では、「宿日直許可(いわゆる寝当直)」の取得、オンコール体制や「自己研鑽と労働時間」の見直しにより、医師をやりくりしながら、日常診療に加え救急治療を提供しています。
 医師数を増やさない前提の「医師の働き方改革」は、患者さんへの医療提供体制が縮小し、人権としての医療へのアクセス権が保障できなくなります。長時間労働による医療事故の増加も懸念され、医学部生からは「臨床現場の多くの医師は業務で手一杯で、教育や医行為実施の監督に十分な時間を割けず、医学教育にも負の影響を与えていると感じています」との声が挙がっています。このままでは日本の医療技術や医学の水準が低下する危険性もあります。
 こうした問題を解決するには、医師の増員を行う他ありません。日本の医師数は人口1000人当たりの現役医師数2.5人とOECD加盟38カ国のうち6番目に低い水準です。
 このような現状に対し、住江憲勇・全国保険医団体連合会名誉会長をはじめ、徳田安春群星沖縄臨床研修センター長や邉見公雄全国自治体病院協議会名誉会長、前田佳子日本女医会会長、渡辺仁佐久総合病院統括院長ら9氏が呼びかけ人を務める「医師・医学生署名をすすめる会」は医師・歯科医師・医学生を対象に「医療崩壊を防ぐための医師増員を求める署名」を開始しました。
 協会では、これに協力することを第1186回理事会で決定し、今号に署名用紙と返信用封筒を同封しております。先生のご署名を賜りたく、お願い申し上げます。
過重労働解消に医師増員こそ必要
「医師・医学生署名をすすめる会」呼びかけ人
全国医師ユニオン代表  植山 直人
2066_07.jpg  医師の過労死における根本原因は医師不足問題です。
 EUでは1週間の医師の労働時間は週48時間が上限で日本に換算すると年間での時間外労働時間は400時間程度です。さらに大半の医師がバカンスを取得できています。
 なぜ日本の医師には年間960時間もの時間外労働が必要なのでしょうか。それは、日本には交代制勤務が組めるだけの医師がいないからです。例えば産婦人科では最低で8名。病欠等を加味すると10名の医師がいなければ交代制勤務が組めないという実態があります。交代制勤務がしっかりと組めれば宿直問題は起きません。これが過重労働の最たる原因です。
 また医者の過重労働の解消は大事ですが、それだけでは医療提供体制の縮小に繋がり保険証を持っていても近くに医療機関がなく受診ができずに国民皆保険が立ち行かなくなってしまいます。
 私は、労働組合である全国医師ユニオンの代表として医師の働き方改革は強く求めていきますが、同時に医師の増員を推進せねば国民の受療権が奪われます。
 この2点を踏まえ今回の署名活動に取り組んでいきますので、ぜひご協力ください。
 
  【署名について詳しくはこちら】
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