兵庫県保険医協会

会員ページ 文字サイズ

専門部だより

政策宣伝広報委員会だより

主張 日本学術会議の法人化に反対する

2025.02.26

 政府は、2026年秋に日本学術会議(以下、学術会議)を特殊法人へ移行させる法案を提出する方針だ。法案は、政府設置の有識者懇談会が昨年12月に出した「世界最高のナショナルアカデミーを目指して」なる最終報告書が基本になるが、この報告書は、学術会議の独立性、自律性を損ない学問の自由を脅かす可能性が指摘されている。
 学術会議は、学術研究が戦争に協力した戦前の反省から、政権から独立した機関として設立された。故に学術会議は、これまで「戦争を目的とする科学の研究には絶対に従わない」という立場を明確にしてきた。
 法人化問題は2020年、当時の菅首相による新会員6人の任命拒否に端を発する。政府はいまだにその理由を明らかにしていないが、安全保障関連法案や特定秘密保護法など政府の方針に批判的な立場であったことが原因とされる。学術会議が任命拒否の根拠の公表と撤回を求めると、政府は学術会議の会員選考方法自体に問題があり組織改革が必要と議論をすり替え、その後唐突に法人化の話を持ち出してきた。会員選考に大臣指名の第三者を関与させ、新学術会議発足時には現会員の大幅な刷新を行うという。
 この見直しの責任者である坂井学国家公安委員長は菅元首相の側近であり、「防衛技術研究を避ける風潮を作った張本人は学術会議である」と自身のブログで断じている。
 さらに、「国家安全保障戦略」においても「研究開発成果の安全保障分野での積極的な活用のため」に「アカデミアを含む最先端の研究者の参画促進」を閣議決定した。つまり、法人化は学術会議を軍事研究に積極的に協力する組織に変貌させるという狙いが透けて見える。
 梶田隆章前学術会議会長はこの理念なき法人化について、「日本の学術の終わりの始まり」と深刻に捉える。
 学術会議の法人化は、政府による学術研究への介入を強め学問の自由を侵害するものであり、民主主義や平和への脅威となる。
 医師・歯科医師は研究者でもあり、学術会議にも多数の会員が選出されている。学術界だけの問題と考えず、私たちもこの問題に目を向けて声を上げる必要がある。政府には任命拒否の理由を明らかにさせ、撤回を求めたい。そして、日本の軍拡に歯止めをかけるためにも学術会議の法人化を阻止しなければならない。
勤務医部会だより 共済部だより 税経部だより 歯科部会だより 政策宣伝広報委員会だより 環境公害対策部だより 国際部だより 薬科部だより 保険請求Q&A 審査対策部だより 文化部だより 女性医師・歯科医師の会 融資制度のご案内 医療活動部だより