歯科部会だより
9/11(日)歯科定例研究会「自家歯牙移植とその周辺-歯根膜の活用で臨床をかえる-」ご案内
2011.08.10
歯科定例研究会「自家歯牙移植とその周辺-歯根膜の活用で臨床をかえる-」
日 時 9月11日(日)午後2時~5時
会 場 兵庫県保険医協会会議室(神戸フコク生命海岸通ビル5階)
講 師 東京都国立市・しもじ歯科クリニック院長 下地 勲先生
定 員 120人(事前申込順)
参加費 会員・無料
*協会未入会の先生は、この機会にご入会の上ご参加下さい(入会金なし。月会費:歯科開業医5,000円、同勤務医3,000円)
歯根膜を最大限に活用する治療が自家歯牙移植であるが、本講演では移植以外にもエンド、ペリオなど身近な臨床全般に及ぶ歯根膜の活用例について理論背景と常に結びつけてお話したい。
近年、GTR、エムドゲイン、GBR、PRP、FGF-2など、いわゆる再生療法への期待は高まるばかりである。しかし、今回は特別な手段あるいは材料などを利用するのではなく、すでに存在する生体の組織である歯根膜のもつ機能をいかに最大限に引き出し、臨床効果をあげるのかをとりあげたい。歯科において歯根膜ほど身近で重要な組織はないと思われ、すでに膨大な量の基礎研究は発表されている。しかし、臨床の中で歯根膜が実際にどのような役割をはたしているのか、さらには治療の中の様々な局面で具体的に歯根膜をどう活用すればよいのかを包括的に示した報告はほとんど存在しない。
今回は歯根膜の再生機能を中心に多くの症例をとおして提示し、歯根膜が予想以上に優れた生物学的特性を有する組織であることを先生方に実感していただき、天然歯保存の意義の再認識につながればと思う。
たしかに、最近のインプラントの普及はめざましいものがあり、当医院でも導入以来18年たつが(対合歯、隣在歯など顎口腔全体に及ぼす影響は別にして)、インプラント自体の失敗例を経験していないほど信頼性は高い。しかし、一方で、その影響もあってか、歯牙保全のための努力が以前に比べて、薄れていく傾向がみられることは誠に残念である。
このことは内外の臨床誌上および講演会でも強く感じられ、また日常臨床においても、努力すれば十分に保存できるケースが安易に抜歯と診断され、インプラントもしくは他の処置をすすめられたとSecond opinionを求める患者さんが急増している現実からも感じられる。さらには臨床雑誌等に掲載される講演会、講習会の案内もインプラント関連が圧倒的に多く、天然歯の保存療法をめざした内容はほとんど見られないのが現状であり、今後の歯科医療の動向はこのままでいいのだろうかと不安をおぼえる。
症例の選択にあたっては、歯科臨床における個々の処置の妥当性は長期的な予後がどうかにかかっていることから短期経過症例はとりあげず、原則として15年以上経過したケースをもとにお話ししたい。【下地記】
お申し込み・お問い合わせは、協会事務局岡林まで TEL078-393-1809