薬科部だより
薬科部研究会「HIV感染症・AIDS治療の現状と今後」
2009.11.07
HIV感染症・AIDSは特別な病気ではない
この領域については全く理解していない私に司会が務まるかどうか、かなり心配でした。講師の日笠先生から「薬剤師の理解程度は、専門外の医師と同レベル」との言葉に少し安心して、研究会を行うことができました。
日本では、先進国で唯一AIDS発病者が増加中。09年HIV感染症患者1126人(9割が日本国籍男性20~30歳代)で、首都圏、関西、東海で急増。HIVに感染した初期はインフルエンザ様症状ですが、その後2~15年以上症状のない無症候性キャリアとして、AIDS発病(平均10年)まで経過するようです。その間、多くの方は患者として医療機関を受診している可能性があるのです。
HIVの感染リスクがあると思われる患者や、免疫の異常が疑われる患者には、積極的にHIV抗体検査を勧めなければならないのです。現在はレトロウイルス療法をHIV感染症の段階で受けることで、AIDS発症は起こりません。ただ、体内からウイルスを完全に排除するには、60年もの年月を必要とするという点は、これからの進歩を期待したいと思いました。
医療現場においても、感染経路は血液を介した経路のみです。万が一、曝露事故がおきた場合、予防内服を迷わず始め、それから状況を改めて考えることが大切だそうです。
薬剤師も医療現場における一員として、非常時の判断ができる立場にあるので、感染防御の対策について熟知する必要があると再認できました。
最後に、とても良い機会を与えて下さったアボットジャパン三木さんに感謝します。
【伊丹市・薬剤師 長光 由紀】