薬科部だより
薬科研究会「視床下部―下垂体ホルモン製剤と治療薬」
2009.11.28
ホルモン製剤を学ぶ
昨年11月28日に、すでに恒例化した近畿大学薬学部教授、松山賢治先生をお招きした薬科部研究会を開催し、109人が参加した。今回の講演テーマは「視床下部―下垂体ホルモン製剤と治療薬」である。
まず取り上げられたのは「CRH―ACTH―副腎皮質―糖質コルチコイド系」。副腎皮質ホルモンの薬理作用、ステロイドの適応症、ステロイド治療上の留意点、副作用について概説された後、血清コルチゾール過剰状態の病態生理、治療法、代表的処方例についても話題として紹介された。
このように「LH―RH―FSH、LH―卵巣・子宮・精巣―性ホルモン系」「TRH―TSH―甲状腺―甲状腺ホルモン系」についても各々の生理、病因、病態生理、臨床症状、診断、鑑別診断、治療方法・薬物のプロフィール、処方例をわかりやすく解説された。特に、白板を用いて図解にて親しみをこめながら熱のこもった講義は大学の雰囲気を彷彿とさせ、引き込まれた。
手前ごとで恐縮だが、偽閉経療法子宮内膜症治療薬「ダナゾール」は製薬会社薬理研究室にて最初に担当した薬物。デシケータに保存された純白の粉末が印象的であった。とにもかくにも上市するのは至上命題。大げさな表現をすると精魂はてるまで実験を重ね承認許可を得た。その後、「GnRHアゴニスト」が出現し羨望と少しの嫉妬をもって治療効果について関心を持っていたが、どの薬剤もいまひとつ明白な効果がない。病態が手強いのか、作用機序が的外れなのか、手術療法を選択肢にいれざるを得ない。
今、この研究テーマを与えられたら(絶対にチャンスはないのだが)、どのようなストラテジーでどうアプローチしようかと想像をたくましくした。
【尼崎市・薬剤師 大村 茂樹】