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薬科部研究会「新型インフルエンザ2009年の対応・肺炎の診断と治療」感想文

2010.01.09

100人の参加者を迎えて

 薬科部は1月9日、県農業会館で研究会を開催し、100人が参加した。参加者の感想文を紹介する。

 毎年恒例、薬科部1月研究会のテーマは感染症。神戸市立医療センター中央市民病院呼吸器内科医長の林三千雄先生をお迎えして「新型インフルエンザ2009年の対応・肺炎の診断と治療」研究会を開催した。
  昨年5月16日午前1時に国内発生第1例が病院に収容されたことから始まった神戸市の新型インフルエンザへの対応についてうかがった。
  発生第一報が届く当日には、中央市民病院では新型インフルエンザに備えての演習が行われていたが、実際には時間単位で増えていく患者の対応に追われることになり病床もすぐいっぱいとなった。5月18月には厚生労働省から「病院の責任で」と言われつつも、軽症者を自宅安静と電話での健康調査というような形に切り換え、乗り切られた。
  実際、発熱外来受診者の内、発熱相談センターを経由した患者は半数のみ。そして診断の結果、新型インフルエンザ患者は受診した815人中、わずか9.5%のみだった。
  驚いたことは、5月15日までに新型インフルエンザ対策として発熱外来設置、病床確保のために合計約4000万円もかかり、患者が入院して以降は毎日約1200万円近くもかかったこと。7月11日に舛添厚労大臣(当時)が訪問され「費用負担する」と明言されたのに、全く負担されなかったこと。先生方や神戸市や近隣の医療機関のご苦労を思うと、言葉では言い尽くせない。
  林先生が、地域連携によってこういう事態に備え、対応することの大切さを強調されていたことを今後に生かしたい。
  後半は「肺炎の診断と治療」、感染症としての肺炎は半数近くが肺炎球菌を起炎菌としている。痰のグラム染色や培養検査、尿中抗原、血清診断で起炎菌を探し重症度の判断をきちんと行い、適正な抗生剤を選択することが重要。レントゲン画像での結核診断や多くの症例を紹介され、「MAC症でした」という処方箋を預かる前にぜひ聞いておきたかった講演だった。
  最後に、林先生をご紹介くださった大井利彦先生、短期間にご協力くださったファイザー株式会社の皆さま、ありがとうございました。

【伊丹市・薬剤師 長光 由紀】


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