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薬科部バスツアー「池の谷薬草園、比叡山、近江(三井寺)へ」感想文

2010.05.09

生薬の国産栽培体制 整備を

 薬科部主催の恒例行事に、職員と一緒に参加しました。
  当日は朝から快晴に恵まれ、比叡山ドライブウェイから琵琶湖を見下ろすロケーションを堪能することができました。また、三井寺の新緑と派手さのない建物が調和した空間も素晴らしいものでした。
  池ノ谷薬草園においてさまざまな薬用植物を見学しました。日ごろ調剤室で手にする生薬は、ロットによって多少の異なりはあるもののその姿は安定しています。しかし、実際に生息している薬用植物は、発芽してから成長する過程で姿が異なり、また、収穫できる季節が異なり、さまざまな姿を呈しています。生薬に対する知識の浅さを再認識すると同時に、生薬の生産者に対する感謝の念が湧き上がりました。
  数年前、丹波黄連を生産されていた老夫婦が、高齢のためにその畑を手放されました。労働に対価が見合わない栽培業には、後継者が現れなかったからです。畑を再生させ、再出荷させるまでには20年程度が必要と聞きました。
  世界的に生薬市場が高騰する日は決して遠い日ではありません。安い生薬を求めて輸入する時代は、すでに終わりつつあります。漢方治療を行う医師・薬剤師はこの現実を認識し、国産栽培への理解を高め、早急に国はその対応に着手しなければなりません。このままでは手遅れになることは明らかです。
  薬草園を後にして延暦寺で鐘の響きを感じながら、その思いが薬師如来様に届くことを願う一日となりました。


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