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薬科部4月研究会「喘息の長期管理は薬剤師の腕の見せ所」感想文

2011.04.25

適切なケアを継続的に

 薬科部は4月2日に県農業会館で、研究会「喘息の長期管理は薬剤師の腕の見せ所~治療を成功に導く薬剤の選択と吸入指導」(講師は駒瀬裕子・聖マリアンナ医大横浜市西部病院部長)を開催、88人が参加した。参加者の感想文を紹介する。

 「喘息の長期管理は薬剤師の腕の見せ所」と大変魅力的な表題。また、表題の吸引力もさることながら具体的な講演内容のため、調剤経験の少ない小生でも抗喘息薬を調剤した患者さんの顔が思い浮かぶ親近感のある研究会となった。
 まずは喘息死の疫学、2000年以前は年間5千人以上の死亡数であり喘息管理後進国であったが、その後は経時的に減少、2010年には2千人弱となりそうとのこと。現在は「喘息死ゼロ」がスローガンであり、その背景には吸入ステロイドの上市と、その使用方法の普及が貢献していると説明された。
 しかし、喘息死の年齢構成では高齢者に多くが分布しているため、今後、高齢者に対する患者指導が目標達成に重要であることが示された。
 また、喘息の病態生理、発症・増悪のメカニズム、増悪要因(特に風邪をひいたときの対策対応)、他の疾患との鑑別、診断を分かりやく説明されたため、喘息のみならず同様の症状を呈する疾患を把握することができた。
 さらに、妊娠が喘息状態(母体)へ及ぼす影響、喘息が妊娠(早産等のリスク、児への影響)へ及ぼす影響を詳述され、妊娠中の喘息管理の重要性が理解できた。発生頻度の高い副作用をあらかじめ説明し、患者さんの懸念を払拭することがアドヒランス向上のポイントであるとのこと。
 特に喘息治療の中心的薬剤吸入ステロイドに関しての複数回の服薬指導と定期的チェックが効果を発揮するとのこと。
 吸入器具別の指導のポイント、患者教育のコツ、具体的患者インタビュー事例(咳痰の有無、日中の活動状況、夜間睡眠状況、残薬の数等)が微細に紹介されたため、明日にでも使用できる方法がふんだんに盛り込まれた有益な内容となった。
 薬剤師の腕、鉄腕・豪腕・辣腕の必要はなく、細腕でも、きちんとした継続的な手腕を発揮すれば不幸な転帰は予防される、と講師の先生からのメッセージと受け取った。


【尼崎市・薬剤師 大村 茂樹】 

 

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