薬科部だより
薬科部6月研究会「GERD~どんな病気か?どう治すのか?~」の感想文
2011.07.12
GERDが引き起こす諸症状を知る
元来日本人は萎縮性胃炎が多いため、胃酸が少なく胃癌が多い民族で、胃食道逆流症は少ないと考えられてきましたが、近年わが国でも胃食道逆流症が急増しています。高齢化、食生活の欧米化、肥満の増加、ピロリ菌感染率の低下などが原因と考えられています。
私自身も逆流性食道炎との診断を受けており、ときどき胸やけなどの不快感に悩まされていますので、興味深くお話をうかがいました。
GERDは、大きく逆流性食道炎と、NERD(非びらん性胃食道逆流症)の二つに分けられます。
GERDは、本来中性の環境にあるべき食道に、酸性胃内容物が逆流することにより起こり、逆流性食道炎の場合、内視鏡では主に食道下部にびらん・潰瘍などの粘膜傷害が見られ、胸やけ、呑酸、食べ物のつかえ、痛みなどの症状を引き起こします。
一方、NERDとは、内視鏡的には粘膜傷害は見られないものの、胸やけなどの症状のあるものをいいます。このような内視鏡陰性逆流症は、食道知覚過敏が関係しているそうです。実際、私も診察の際に不快感を訴えたときに、そんなに荒れていないよ、と言われたことがありました。
また、GERDの食道外症状として、かれ声、咽頭炎、喉頭炎、慢性咳、非心臓性胸痛など、さまざまな症状があるとのことで、長年治癒しなかった慢性咳が逆流性食道炎によるものではないかとPPI(プロトンポンプ阻害薬)を服用したところ、治癒したという事例の紹介もあり、今後の日常業務にすぐに役立つような興味深い講演でした。
【尼崎市・薬剤師 木戸口 美和子】