税経部だより
税務調査には慌てず毅然とした対応を
2009.09.15
■ 医療機関も重点業種
税務調査の時期となった。税務署では毎年、調査対象の選定を行い、8月から本格的に調査に着手する。医業者は依然として高額所得者とみなされ「重点業 種」にあげられている。調査の内容は多岐にわたるが、最近は自由診療だけでなく保険診療や必要経費の調査も重視され、調査件数も増えているようだ。8月以 降、協会会員からは「税務調査の日が決まったが、どう対応したらいいか」などの声が寄せられている。
医療機関への令状のない税務調査は「任意調査」であるが、昨年、協会にも「約束と異なる日に無予告で押しかけられ、大声を出す乱暴な調査にあった」との 相談が寄せられた。「任意」であることを忘れず、行きすぎた調査には毅然とした態度でのぞもう。
■ 通知なし調査は断る
調査自体は拒否できないが、任意調査では調査日時を変更できる。無予告の場合は当日断わり、顧問税理士と相談のうえ日時を改めて指定することが肝要。
身分証明書の提示を求めて所属や氏名、調査の目的・趣旨・項目を記録することも忘れずに。
■ 勝手なことはさせない
調査では、署員に引出しや金庫の中を勝手に開けさせず、院長自らが開けて出すようにしたい。署員が帳簿・書類を持ち帰ると主張しても応じる義務はない。 特にFD/MOなど電子記録媒体は履歴も調べられる可能性があるため、絶対に持ち帰らせてはならない。パソコン操作の要請があった場合も、無関係なデータ を見られる恐れがあるため断わり、必要な書類は納税者が印刷して提示すればよい。
■ カルテ開示には応じない
近年、調査の趣旨に関係なく、カルテの開示ないし持ち帰りを要求された例もある。医師には刑法134条等で厳重な「守秘義務」が課せられており、個人情 報が記載されているカルテの開示には応じてはならない。一方、診療記録であるカルテに、自費診療収入の額など会計記録は記さないことを日頃から徹底してお きたい。
■ 事前準備もしっかりと
専従者給与については、従事内容に見合った額でなければ過大と見なされるため、実際の業務内容を明示できるようにしておく必要がある。
また、接待交際費は、領収書などに「誰と何のために」使ったのかをメモし、事業上の「必要性」=「経費性」を主張できるようにしておくことが重要であ る。
調査の通知があればあわてずに、顧問税理士や協会と相談のうえ、対応することが大切である。