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医経研4月例会「医療過誤の考え方・その対策」感想文

2014.06.12

協会は4月26日に医院経営研究会を県私学会館で開催。「医療過誤の考え方・その対策」をテーマに川西譲弁護士が講演し、19人が参加した。鄭漢龍先生の感想文を掲載する。

『トンデモ判決』『トンデモ医者』

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 本講演は、訴訟からの守り方を医療側に伝授するのが趣意だろうが、私は提訴する側の患者の立場から、聴講した。
 私事で恐縮だが、私の家内は昨年頭に心原性脳梗塞で倒れ、しかも、担当医が心エコ-検査を怠ったために、入院中に2度目の血栓が心房から飛び出して、両側麻痺という惨状に陥った。私がかつて勤務していた大阪の大病院で、約1年の入院の末に他界した。その間の担当医らの行動を検証する手がかりとして、本例会へ直ちに出席を決めた。本文が中庸を欠くことをご寛容いただきたい。
 医療の過程で生じる医療事故の内で、医療側の関与するものを医療過誤と言う。医療過誤では民事・刑事・行政責任が追及される。損害賠償をめぐる民事責任では、医療側の〈過失〉と〈不履行〉の有無が問われるが、〈過失〉が3年、〈不履行〉が10年で時効を迎える。この時効内で訴訟が起きるが、患者側勝訴率は意外に低い。平成15年には45%ほどだったが、平成24年には23%まで下降している。
 講演の中で、私が胸を打たれたスライドには、次のように示されていた。
 「医療裁判の限界。医療裁判は、悪しき結果の責任をだれに負担させるかということを決める手続きであって、必ずしも真実を明らかにしないし、事故の再発予防にもほとんど無力である。患者は金銭賠償を得られることはあっても、真実を知ることも、謝罪を求めることもできないし、勝訴しても受けた傷は癒されない」
 演者はさらに、〈東大ルンバール判決〉を例に、裁判官の医学的無知から誤った『トンデモ判決』がある、と指摘された。しかし、画像診断のオーダーを出すだけで、患者を診察しない、そんな『トンデモ医者』が今も病院で闊歩している、と私は告発したい。
 勝訴率が低くても、医療裁判の限界を超えてまでも、医師を糾弾せざるを得ない無念の思いが患者側にはある。
 なお、川西譲弁護士は医療問題がご専門で、さらに、医療施設の常務理事をも務めておられる。尼崎市で医療法律相談室を主宰しておられ、医療トラブルをめぐって、攻める側にも、守る側にも心強い支えとなってくれるに違いない。
【西宮市 鄭 漢龍】
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