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年末調整等書類 職員のマイナンバー収集にあたっての留意点

2016.12.05

 2016年1月にマイナンバー法(行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用に関する法律)の運用がはじまって以降、最初の年末調整をむかえます。
 「平成29年分給与所得者の扶養控除等申告書」には給与所得者(職員)および控除対象配偶者・扶養親族の個人番号(以下マイナンバー)を記入する欄が設けられており、事業者である各医療機関は、否応なく対応を迫られます。
 そこで、今回はマイナンバーをどう扱うべきか、法令やこの間明らかになった国税庁の見解等を参考に、見ていきます。

事業者のマイナンバー収集はあくまでも努力規定です

 まず第一に、事業者である医療機関は、職員の個人番号を収集し、税務署や市区町村に提出する書類に記載することが求められます。そのために、職員に個人番号の提出を呼びかける必要がありますが、仮に提出をしない職員がいた場合も、事業者が何らかの責任を負うことはありませんし、罰則もありません。マイナンバー法において、事業者の番号収集はあくまでも「努力規定」となっているからです(マイナンバー法6条)。
 しかしながら、同時に「努力規定」である以上、提出を得られなかった職員について、その経過・理由等は、可能な範囲で記録、保存しておく必要があります。この点は国税庁の見解で「従業員や講演料等の支払先等から個人番号の提供を受けられない場合、提供を求めた経過等を記録、保存するなどして単なる義務違反でないことを明確にしておく」(国税庁「社会保障・税番号制度〈マイナンバー〉FAQ『源泉所得税関係に関するFAQ』Q1-13」)とされておりますので「提供を求める努力を果たしている」ことを記録に残す必要があります。

マイナンバー未記載でも税務署・市区町村は書類を受け取ります

 税務署に提出する「源泉徴収票」、市区町村に提出する「給与支払報告書」には、事業者が職員から預かったマイナンバーを記載する欄がありますが、マイナンバー記載がない場合でも、提出に際して税務署や市区町村が受け取りを拒むことはありませんし、罰則もありません。
 国税庁の公式見解でも「申告書等に個人番号・法人番号を記載していない場合でも、税務署が書類を受理しないということはない」(同『番号制度の概要に関するFAQ』Q2-3−2)「申告書等を税務署等に提出する際、個人番号・法人番号の記載がない場合や誤りがあった場合の罰則規定は税法上設けられていない」(『同FAQ』Q2-3−3)と、この点は明確になっています。提出に際して参考にしてください。

個人に番号提供の義務はありません

 そもそもマイナンバー法では個人に対してマイナンバーの提供を義務づける規定はなく、提出するかどうかは、あくまでも任意で、個人の判断に委ねられています。
 そうしたことからも、逆に事業者である医療機関は職員に個人番号の提供を強制することはできませんのでご注意ください。

マイナンバーを収集した場合取り扱いには重々注意を

 職員のマイナンバーを収集した場合、番号取り扱いについて「基本方針の策定」「取扱規程の策定」など充分な安全管理措置を講じる必要があります。仮に個人番号が漏洩した場合には罰則規定が設けられており、この点について事業者は大きな事務負担とリスクを抱えることになります。
 以上のように、事業者が職員から個人番号の提供を受けないことに対する罰則規定や不利益はない一方で、逆に提供を受けた場合リスクと責任が発生する仕組みになっています。これらの点に十分ご留意の上、各医療機関では適切な対応方針を判断いただく必要があります。
 ご不明な点やご意見等ございましたら、協会税務経営部(電話078-393−1817)までご一報ください。

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