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税経部より 年末調整における定額減税のポイント
協会税務講師団 田口 智弘税理士

2024.10.25

1.はじめに
 令和6年分所得税については、定額による所得税の特別控除(定額減税)が実施されています。
 年末調整の際には、年末調整時点での定額減税の額(年調減税額)を計算し、年間の所得税額を確定させます。
 ここでは、年末調整における定額減税のポイントについて解説していきます。
2.年末調整の定額減税の対象者
 原則として、年末調整の対象者が、年調減税の対象者となります。
 ただし、年末調整の対象者のうち、給与所得以外の所得を含めた合計所得金額が1805万円超となる人は、年調減税の対象者ではありません。よって、年調減税額を控除せずに年末調整を行うことになります。なお、年末調整において合計所得金額が1805万円超かどうかの確認は、基礎控除申告書などにより把握した合計所得金額を用いますのでご留意ください。
 なお、給与収入が2000万円超の人については、そもそも年末調整の対象となりませんので、確定申告で精算を行うことになります。
3.月次減税との関係
 令和6年6月1日(基準日)に在職し、扶養控除等申告書を主たる給与の支払者に提出している者は、所得の見込み額にかかわらず、令和6年6月以後の給与等の源泉徴収税額から一律に「月次控除」が行われています。
 したがって、合計所得が1805万円超となる人の月次控除額は、年末調整で精算されることになります。
4.定額減税による減税額
 定額減税は本人分3万円と、同一生計配偶者・扶養親族(居住者に限る)1人につき3万円の合計額となります(図1)。
 なお、年調減税額の控除は、その人の住宅借入金等特別控除後の所得税額(年調所得税額)を限度に行います(図2)。
 また、同一生計配偶者・扶養親族が居住者に該当するかどうかの判定は、令和6年12月31日の現況により判定します。月次控除の際は、令和6年6月1日の現況で判定することとされていましたので、扶養親族等に異動があった場合、月次控除の段階と年調減税額が異なる場合があります。
5.扶養親族の確認
 年末調整における定額減税の特別減税額の加算対象となる扶養親族については、扶養控除等申告書(控除対象扶養親族・16歳未満扶養親族、居住者に限る)、年末調整に係る定額減税のための申告書(扶養控除等申告書に記載漏れの16歳未満扶養親族、居住者に限る)により確認します。
 職員には扶養する親族に増減がないか確認してもらうようにしましょう。
 なお、居住者である16歳未満扶養親族については、年調減税額の計算に含めることになりますが、従来同様に扶養控除の対象にはなりませんのでご留意ください。
6.同一生計配偶者の確認
 年末調整における定額減税の加算対象となる同一生計配偶者については、基礎控除申告書及び配偶者控除等兼定額減税申告書(給与所得者の合計所得金額1805万円以下、配偶者の合計所得金額48万円以下、居住者に限る)により確認します。
 なお、基準日在職者から、同一生計配偶者について記載された「源泉徴収に係る申告書」の提出を受けた場合であっても、年末調整の際に、配偶者控除等兼定額減税申告書の提出を受ける必要があります。
 また、同一生計配偶者について、源泉控除対象配偶者として記載した扶養控除等申告書の提出を受けた場合も、年末調整の際に、配偶者控除等兼定額減税申告書の提出を受ける必要があります。
7.源泉徴収簿における計算
 「令和6年分給与所得に対する源泉徴収簿」右側の「年末調整」欄は、年調減税額の控除計算には対応していません(図3)。
 このため、年調減税額の計算をするためには、国税庁ホームページに掲載している「令和6年分年末調整計算表」または「年末調整計算シート(令和6年用)」を別途利用するか、「令和7年分給与所得に対する源泉徴収簿」の裏面に印刷されている令和6年分年末調整計算表を利用して計算します(図4)。
 この様式では、源泉徴収簿の欄(年調所得税額)と欄(年調年税額)との間に-2(年調減税額)、-3(年調減税額控除後の年調所得税額)、-4(控除外額)を設定して計算するようになっています。
 また、年調減税額を控除した金額に102.1%を乗じて復興特別所得税を含めた年調年税額を計算します。
8.源泉徴収票の記載事項
 年末調整を終了した後に作成する給与所得の源泉徴収票の(摘要)欄には、実際に控除した年調減税額を「源泉徴収時所得税減税控除済額×××円」、年調減税額のうち年調所得税額から控除しきれなかった金額を「控除外額×××円」(控除しきれなかった金額がない場合は「控除外額0円」と記載)と記載します。
 なお、控除しきれなかった金額については居住の市町村から給付されますので、翌月以降の源泉徴収税額から控除する必要はありません。
 また、合計所得金額が1000万円超である居住者の同一生計配偶者(非控除対象配偶者)を年調減税額の計算に含めた場合は、上記に加えて「非控除対象配偶者減税有」と記載します。
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図1 年調減税額
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図2 年調減税額の控除
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図3 令和6年分給与所得に対する源泉徴収簿
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図4 令和6年分年末調整計算表(左)年末調整計算シート(令和6年用)(右)
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