兵庫県保険医協会

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【決議】兵庫県保険医協会第45回総会決議

2013.06.16

兵庫県保険医協会第45回総会決議
 


 自民党が政権を取り戻してから半年間、安倍首相は総選挙公約に反してTPP交渉参加を決定した。しかし国民皆保険を守る保証などどこにもないことが明らかになっており、ただちに交渉参加から撤退すべきである。
 安倍首相はデフレ経済からの脱却をめざすとして、「株高」と「円安」を誘導している。しかし、国内の投資は増えておらず、一部の富裕者層を除いて勤労者の賃金は低下したままで、貧困と格差が一層拡大している。ガソリンの値上げや電気料金の値上げ、食料品の値上げなどが勤労世帯や年金世帯を圧迫している。国内の景気が回復しないまま、消費税が増税されれば、景気を一層冷え込ませ、受診抑制も益々強まることは必至である。
 自民党は社会保障制度で「自助」を強調し、生活保護の受給を困難にする生活保護法の改悪を衆議院で可決した。また生活保護受給者への投薬処方では、医師の裁量権を無視してジェネリック医薬品の使用を押しつけている。生保受給を口実にした治療の制限は、基本的人権保障としての社会保障の理念に反するものである。
 安倍首相は、70歳からの医療費窓口負担を来年度から2割にすることを明言し、社会保障制度改革国民会議などでは、カゼなどは7割負担に、紹介状なしの病院受診は1万円になど、露骨な患者負担増政策が検討されている。
 これらは、社会保障を国家責任として位置づけた憲法25条に反するものである。こうした安倍内閣の憲法無視の姿勢の根源には、国民が権力を規制するという立憲主義を否定した自民党の憲法「改正」草案の理念があると言わざるを得ない。
 安倍首相は、現憲法の根幹にかかわる認識として「侵略の定義は定まっていない」などと発言した。しかし、1974年の国連総会では、日本も賛成して侵略の定義に関する国連総会決議が採択されており、2010年には国際刑事裁判所でも、日本が参加した中で規定されている。安倍首相の発言は、アジアでの孤立を招くものであり、不見識そのものである。
 我々は、平和憲法を守り、社会保障を基盤とした国づくりへの道を希望し、下記の要求実現をめざして全力をつくすことを表明するものである。

一、消費税増税をやめ法人税をもとにもどすなど、国の責任で社会保障の財源をつくること
一、国民皆保険を形骸化させるTPP交渉参加を中止すること
一、再稼働した原発を停止し、原発ゼロへの政府方針を明確にすること
一、窓口負担を大幅に軽減し、診療報酬の引き上げなど総医療費を拡大すること
一、保険でより良い歯科医療の実現へ、患者負担を縮小し、給付範囲を拡大すること
一、東日本大震災被災者の医療費一部負担金を免除し、被災医療機関を再建すること
一、憲法25条を活かし、社会保障を基盤とした国づくりに転換すること
一、憲法9条を守り、沖縄の普天間基地は国外移転すること

以上、決議する。

2013年6月16日 兵庫県保険医協会第45回総会