兵庫県保険医協会

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【決議】兵庫県保険医協会第85回評議員会決議

2014.05.19

兵庫県保険医協会第85回評議員会決議
 


  安倍内閣のもとでの初の診療報酬改定が、消費税増税とセットで行われた。薬価引き下げ分の診療報酬への振り替えも行われず、事実上のマイナス改定となった。初・再診料が引き上げられたが、国民生活が益々苦しめられる中で受診抑制の広がりが強く懸念されるとともに、損税の拡大により医業経営は危機的状況に陥ろうとしている。しかも、「7対1看護」病床を9万床削減するため、認可基準が厳しくされ、中小病院のあり方が強制的に変えられようとしている。一方、在宅医療では「同一建物」制限で安上がり医療が押し付けられるなど、地域医療を後退させる大改悪というべき改定である。さらに、国会に上程された「医療・介護総合法案」は、医療難民・介護難民を増加させるとともに、医療費抑制のために医療提供体制を行政が操作するシステムを導入する医療崩壊促進法案である。また、規制改革会議が表明した「選択療養」は、混合診療の全面解禁にほかならず、到底認められるものではない。安倍首相は自ら「解禁」を主導しているが、これは「医療保険はTPPの対象外」として、混合診療導入にはならないとしてきた内閣の説明に反するものである。
 こうした安倍政権の暴走は、医療政策に止まらない。福島原発事故の収束もままならない中で、原発ゼロから原発回帰へとエネルギー基本計画を逆転させ、自然エネルギー促進には目標値すら設定しないなど、国民世論に真っ向から挑戦する姿勢をあらわにしている。安倍首相は、昨年末には特定秘密保護法を強行成立させ、直後には首相自身による靖国参拝を行い、近隣諸国との軋轢を増大させた。慰安婦問題では「河野談話」での自民党政府公式見解の見直しを打ち出した。さらに今国会では教育委員会を廃止し教育への行政の介入を強めようとするなど、その右傾化と暴走ぶりには、歴代自民党幹事長や関係官僚らからも批判が続出している。とりわけ重大なことは、現憲法のもとで集団的自衛権は可能であるとし、憲法の解釈は政府の最高責任者が行うと表明したことである。時々の総理の判断で憲法の解釈が変更できるとする見解は、憲法が国政を縛るとする立憲主義にも国民主権にも反するものであり断じて容認できない。
 国の悪政に追随する兵庫県は、第3次行革プランで福祉医療改悪を発表したが、我々の運動と市町などの反対で一定の修正を行わせることができた。こども医療費は、「中3まで無料」を2011年の6市町から2013年には20市町まで拡大させたことは重要である。県市町からできる医療改善の取組みを一層広げよう。神戸市は国の特区制度利用による医療産業都市の活性化のために、50億円を超える市税を投入するとしているが、混合診療が実施されないよう監視しなければならない。
 我々は、安倍暴走政治から国民皆保険医療を守り、憲法9条や憲法25条など平和と福祉を高くかかげた現在の憲法の改変を許さず、地域医療の拡充を求めて奮闘するものである。

一、消費税増税を元にもどし、医療にはゼロ税率を導入して消費税を還付すること。
一、保険でより良い歯科医療を実現するため、保険適用の範囲を拡大すること。
一、70~74歳の患者窓口負担を1割にもどすこと。子どもの医療費は中学3年生まで無料にすること。
一、「同一建物」在宅報酬の大幅引き下げや「7対1看護」要件など、診療報酬の不合理を緊急是正すること。
一、県立こども病院のポートアイランド移転は中止すること。移転を強行する場合は、分院として残すこと。
一、高すぎる国保保険料を引き下げ、短期保険証や資格証明書の発行をやめること。
一、TPP交渉から撤退し、「選択療養」などと称する混合診療解禁を行わないこと。
一、東日本大震災における一部負担金免除措置を再開し、全被災医療機関の再建に公的支援をおこなうこと。
一、停止している原発の再稼働を行わず、「エネルギー基本計画」の目標を「原発ゼロ」にすること。
一、オスプレイの飛行訓練と配備をやめさせ、普天間基地の「国外移転」をアメリカに求めること。
一、平和憲法を守り、憲法通りの国づくりをめざすこと。

以上、決議する。

2014年5月18日 兵庫県保険医協会第85回評議員会