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兵庫県保険医協会第86回評議員会
2014.11.16
兵庫県保険医協会第86回評議員会決議
安倍内閣は、国民医療と介護保険の抜本的な抑制をめざして、三つの改悪を進めようとしている。
第1は、医療提供体制の本格的な削減である。政府は診療報酬改定で7対1病床の規制などを強め、地域医療ビジョン作成により必要病床数を削減し、都道府県単位で医療費抑制の目標値を定めようとしている。また国家戦略特区での混合診療解禁や、皆保険制度崩壊の先鞭となる「患者申出療養」の導入、「非営利」としつつもホールディングカンパニーと称する営利資本参入の企て等、非営利性を旨とする医療提供体制を大きく歪めるものである。
第2は、患者窓口負担を大幅に増加することである。受診時定額負担をはじめ、入院給食費の負担増、薬剤費負担の導入、高齢者の窓口負担割合の引き上げなど、かつてない患者負担増メニューが目白押しとなっている。
第3は、介護支援サービスの必要な高齢者を介護保険から排除することである。介護支援事業はボランティアを含めた自治体の支援事業に移され、介護費用の削減と利用者への負担増がもくろまれている。
一方、消費税増税以後の経済情勢は、個人消費は4月から連続で前年同月を下回り続け、不況と物価上昇が同時進行する最悪の事態が広がっている。「10%」増税などはもってのほかである。このような厳しい社会情勢の中での医療と介護の同時改悪は、貧困と格差の拡大に苦しむ国民に、厳しい受診抑制と悲惨な結果をもたらすものである。
また、医業経営においても消費税損税の拡大による経営困難が拡大している。医療へのゼロ税率導入で真の非課税を実現すべきである。
安倍首相は7月に集団的自衛権行使を容認する閣議決定を行った。これも医療者として断じて許すことはできない。憲法の解釈変更を一内閣が閣議決定で行うことは、立憲主義に反する暴挙であることは言うまでもない。「後方支援」と称しても、戦争に参加することに変わりはない。集団的自衛権は、他国の戦争に日本をまきこみ、日本を守るどころか、国民の生命と安全を脅かすものである。
我々の努力と県民の運動などにより、中学3年生までのこども医療費無料化は、県下自治体の6割に広がり、姫路市議会では、母親たちと支部が協力した請願が採択された。保険でより良い歯科医療を求める請願は、川西市議会での採択により県下自治体の6割に至っている。
患者負担増を許さない運動を大きく広げ、国会に請願署名5万筆を積み上げよう。我々は、憲法が輝く、社会保障の拡充をめざして以下の項目実現へ向けて、全力で奮闘することを決意するものである。
記
一、患者負担増計画をやめること。子どもの医療費は中学3年生まで無料にすること。
一、消費税の10%増税を中止し、医療にはゼロ税率を導入して消費税を還付すること。
一、保険でより良い歯科医療を実現するため、保険適用の範囲を拡大すること。
一、高すぎる国保保険料を引下げ、短期保険証や資格証明書の発行をやめ、不当な差押さえを行わないこと。
一、TPP交渉から撤退し、「患者申出療養」などと称する混合診療解禁を行わないこと。
一、東日本大震災における一部負担金免除措置を再開し、全被災医療機関の再建に公的支援をおこなうこと。
一、停止している原発の再稼働を行わず、「エネルギー基本計画」の目標を「原発ゼロ」にすること。
一、沖縄・普天間基地の辺野古移転計画を中止し、「国外移転」をアメリカに求めること。
一、集団的自衛権行使容認の閣議決定を取り消し、平和憲法を守り、憲法通りの国づくりをめざすこと。
以上、決議する。
2014年11月16日 兵庫県保険医協会第86回評議員会