兵庫県保険医協会

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【抗議声明】伊方原発の再稼働は許されない

2015.09.05

2015年9月5日


避難計画の実効性が不十分なままでの

四国電力伊方原発の再稼働は許されない

 

      兵庫県保険医協会理事長 西山 裕康

 

 四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)で事故が起きた際の周辺自治体の避難計画を含む原子力防災体制について、愛媛・山口・大分の3県と関係省庁でつくる「伊方地域原子力防災協議会」は8月26日、東京都内で非公開の会合を開き、「国の指針に照らして合理的かつ具体的」として了承した。政府の原子力防災会議に近く報告され、承認される見通しだが、避難ルートの確保、避難の迅速性などにおいて計画には不十分な点が多々あり、住民の不安が解消されていない。避難計画の実効性が不十分なままでの再稼働は断じて許されない。日本国民全体の課題であり、住民の命に関わる問題についての検討を非公開で行うことも問題である。

 伊方原発は「日本一細長い」とされる佐田岬半島の付け根の急峻な地にあり、原発より西側に約5千人が住んでいる。過酷事故が起こった際には充分な人員と物資を搬入することもままならず、不十分な事故対応しかできない状況が考えられる。陸路が使える場合には自家用車などで伊方原発の前を通り過ぎて松山市方面に避難するとしているが、事故時に原発近くの道を通ることは極めて困難である。また、陸路が使えない場合はフェリーを使い、原発から約50km離れた大分県側に避難するとしているが、迅速性、確実性に欠ける。住民を運ぶバスやフェリーの事業者との覚書はまだ締結されていない。原発事故と地震や津波が同時に起きる「複合災害」が起きれば、道路は寸断され、港は損壊し、不充分な防曝設備しかない一般家屋内への退避とされている。これは住民の高濃度被曝容認を前提としたものであり、このような避難計画は「合理的かつ具体的」とはとても言えない。


 愛媛県の環境安全管理委員会は8月28日、原子力規制委の審査は妥当とする報告書を決定した。中村時広愛媛県知事は今後、報告書を基に再稼働の可否を判断するとしている。伊方原発の事故は瀬戸内海の放射能汚染につながる。地元自治体だけの問題ではない。

 われわれは、いのちと健康をまもる医療者として、事故による放射能汚染の危険性を内包し、安定処分できない危険な核廃棄物を産出し続ける原発の新設、増設、再稼働を到底容認することはできない。

 政府、愛媛県知事に伊方原発の再稼働を容認しないよう求める。