兵庫県保険医協会

会員ページ 文字サイズ

トピックス

トピックス

TPP交渉の「大筋合意」に強く抗議する

2015.10.10

2015年10月10日

TPP交渉の「大筋合意」に強く抗議する

 

兵庫県保険医協会

第1026回理事会

理事長 西山裕康

 

 10月5日に政府は、TPP交渉が大筋で合意したと発表した。私たちは、いのちと健康を守る医師・歯科医師の団体として、国民皆保険制度を守り発展させる立場から、これに抗議する。

 私たちは、TPPがくらしに及ぼす影響は多岐にわたり、医療分野もその例外ではないことをかねてより主張してきた。TPPへの参加によって、営利企業の医療機関経営への参入による医療の営利産業化と、混合診療の拡大・全面解禁により、国民皆保険制度が縮小・崩壊へとつながる危険がある。このようなTPPへの参加は断固反対である。

 これらの懸念について日本政府は、日本の国民皆保険制度はTPPの対象となっていないと主張してきた。しかし、TPP交渉において、医療分野も交渉対象である。TPPに含まれているISDS条項は、投資先の国や自治体による規制によって、進出企業に不利益が起こったと判断した場合に、投資先の国や自治体に対して損害賠償を求めることができる制度である。これによって多国籍企業が、日本の医療保険制度によって平等な競争が阻害されたとして、国や自治体を訴え、医療分野の市場開放や過大な損害賠償につなげられる可能性がある。これは、日本国と日本国民にとって極めて大きな損失となる。グローバル企業が社会的共通資本である国民皆保険制度を形骸化するようなTPPは到底承認できない。

 そもそも自民党は、2012年衆院選において、民主党が進めているTPP交渉に反対すると公約して総選挙に勝利し、安倍政権が誕生した。しかし政府は一貫してTPP交渉を進めた。この国民への裏切り行為は断じて許すことができない。

 TPP交渉は大筋合意がなされたが、その発効には協定の調印と各国での批准などが必要である。これまでTPP交渉は秘密裏に進められてきており、わが国の国会でも十分な議論はなされていない。

以上に示したようにTPPにはわが国の国益と主権を損なう問題点が山積している。今後速やかに合意内容を明らかにして、国会審議と、国民間での議論を尽くす事が必要である。

 

 私たちは、国民のいのちと健康を守り、国民皆保険制度を守り発展させる医師・歯科医師の団体として、TPPからの撤退、調印中止、国会での不承認、批准反対を求める。