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【声明】高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉を求める
2016.05.28
2016年5月28日
高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉を求める
兵庫県保険医協会
第1039回理事会
高速増殖炉「もんじゅ」について、政府が存続の方針を表明すると、5月14日の産経新聞が報道した。
「もんじゅ」は、原子力発電所から出た使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、それを再利用して発電する原発であり、使用した以上の燃料を生み出す「夢の原子炉」という触れ込みで、政府が核燃料サイクルの中核的施設と位置づけ、開発を進めてきた。しかし、燃料とするプルトニウムは取り扱いが極めて困難であるばかりか、冷却材に水や空気に触れると爆発的に反応する液体の金属ナトリウムを使用しているなど、他の原発にもまして構造上極めて危険性が高く、重大事故発生時にははるかに強力な放射能汚染物質の放出を招き、国土の広範囲を荒廃させる。原子力規制委員会ですら、保守管理の不備に対して適切な措置や改善が行われておらず、安全性の面から日本原子力開発研究機構には運転を行う資質がないとして、運営主体を変更するよう求める勧告の中で、危険だと認めているところである。
実際に、もんじゅは1994年の初臨界のわずか1年後にはナトリウムが漏れ出す大事故を起こし、計20年間も運転ができていない。外国も相次いで技術面から高速増殖炉の開発を中止するなど、もんじゅの運転再開の見通しは全く立っていない。にもかかわらず現在も毎年200億円近く維持費がかかり、これまで計約1兆円もの税金が投じられている。機器の老朽化によって周辺住民へ放射能汚染の危険も日増しに高まっている。周辺住民の健康を脅かし、経済的損失も巨額に上り、再開のめどすら立たないもんじゅは、即時廃炉とすべきである。
われわれは、原子力規制委員会の指摘を無視し、核燃料サイクルに固執してもんじゅを存続させようとする政府の方針に強く抗議する。また、いのちと健康をまもる医療者として、周辺住民への健康被害のおそれが極めて高い高速増殖炉もんじゅの即時廃炉を求める。