兵庫県保険医協会

2016年６月23日

高浜原発１・２号機の「延長審査」内容、

方法に抗議し、合格の取り消しを求める

  兵庫県保険医協会

環境・公害対策部長　森岡　芳雄

　原子力規制委員会は６月20日、運転開始から40年以上が経過した関西電力高浜原発１・２号機について、原子炉などの老朽化に伴う影響を調べる「延長審査」を認可した。最長60年までの運転延長が可能となるという。

　しかし、運転延長の要件である重要施設の耐震性に関する審査の実証試験を期限後に先送りして行ったり、検査の重点項目について事前通告の上、行っており、抜き打ち検査を行っていないなど、この検査が数多くの非常に不適切な方法で実施されたことが指摘されている。

　「原子力発電所は原則40年で廃炉に」というルールは、そもそも福島第一原発事故を受け、民主・自民・公明の3党合意に基づいて定められたものだ。「１回だけ、最長20年」という運転延長規定は、電力不足などに備えるために設けられたもので、規制委員会も「極めて例外的」「（認可は）相当困難」と説明していた。原発依存度低減という国民への約束をなかったことにすることは許されない。

　われわれは、いのちと健康をまもる医療従事者として、事故による放射能汚染の危険性を内包し、安定処分できない危険な核廃棄物を出し続ける原子力発電所の新設、増設、再稼働を到底容認することはできない。原子力規制委員会は、大津地裁の高浜原発３・４号機運転差し止め仮処分決定でも指摘され、熊本地震を踏まえて元委員長代理の島崎邦彦氏に予測計算式の不備を指摘されている基準地震動を基に策定した不完全で危険性を内包した新規制基準に従って審査することをやめるべきである。また、運転期間延長の審査は前例がないにもかかわらずパブリックコメントの募集を行っていない。審査結果の案についても広くパブリックコメントを求めるべきである。

　原発ゼロを求める国民の声に耳を傾け、高浜原発１・２号機の再稼働を断念し、今すぐ廃炉にするよう、政府、関西電力に改めて強く求める。