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福島第一原発事故で問われるもの 脱原発・再生可能エネルギーへシフトを
2016.07.25
福島第一原発事故で問われるもの 脱原発・再生可能エネルギーへシフトを
2016年7月25日
兵庫県保険医協会
福島第一原発事故から5年が経過した。放射能汚染により、ヒトが数百年にわたり、住めない・住まない方がいい大地ができてしまった。あまり報道されていないが、今なお、汚染水だけでなく、土壌に降り積もった汚染物質も雨水などにより拡散し、河川から海洋へと流出している。
今、加害者である国と東京電力は、一般の基準値の20倍となる年間20ミリシーベルトを基準に避難区域の解除を進めると同時に、賠償の打ち切りを進めている。被災し、避難を強いられている方たちは、次は半ば強制的に帰還させられようとしている。故郷を捨ててまで、より線量の低い生活環境を求めようとする方たちへの支援も削減され、自主避難者には時に厳しい視線が浴びせかけられている。帰還する権利も避難する権利も、社会・経済的に保障されてはいない。
環境省は、除染後の汚染土壌を放射性セシウム濃度8000Bq/㎏以下でもって、道路工事の盛り土などに再利用する方針を決定した。この基準は放射性廃棄物として管理される基準の80倍であり、これには検討委員会内部からでさえ危険性が指摘されている。原発事故の実態隠し、風化の促進とともに、汚染の拡散、原発の再稼働が進められている。
自然の猛威は、人類の予測をしばしば超える。原発は重大事故の危険性を内包したものであり、使用済み核燃料という、危険でいかんともしがたい廃棄物を大量に産生し続けている。
核燃料サイクルの中核をなす高速増殖炉は、冷却材に水や酸素と反応しやすい金属ナトリウムを使っており、きわめて高度な技術を要し、実用化にはほど遠い危険な原発である。
原発は、テロの格好の標的であり、飛行機や通常兵器による攻撃によっても、核ミサイル攻撃と同規模の損傷を被る。
再生可能エネルギーへのシフトは、地球温暖化対策であるばかりでなく、エネルギー自給率を高め、危険なテロを回避する国家的防衛戦略でもある。
先の第二次世界大戦で、アジアの国々に武力でもって侵攻した日本。被爆国でありながら、原発事故を顧みず、核保有できる技術力と大量のプルトニウムを抱えている日本の唱える平和外交に、どれだけの説得力があるだろうか?
日本は、文化と医療、教育、福祉を基軸に内需拡大し、低成長でも持続した経済成長を、節エネルギー下にめざすべきである。現在の原発回帰、大企業優遇、重工業、輸出中心の経済成長戦略は、命と健康と文化生活と、この国の未来を破壊している。福島の教訓は、反原発、脱原発である。