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【声明】「共謀罪」法案に反対する
2017.02.25
「共謀罪」法案に反対する
兵庫県保険医協会
第1053回理事会
政府は、いわゆる「共謀罪」について、「テロ等組織犯罪準備罪」との名目で通常国会への法案提出を計画し、衆議院で審議を開始した。この「共謀罪」法案は、基本的人権や市民生活に制約をもたらす危険性をはらんだものであり反対する。
政府は国連越境組織犯罪防止条約締結のための国内法整備を名目としてこの法案を提出した。適用対象を「組織的犯罪集団」として、対象となる犯罪を300弱へと絞り込み、市民生活監視を目的としたものではないとしている。しかし共謀を処罰するという法案の性質は、廃案になった過去のものと何ら変わっておらず、犯罪の計画や相談、合意だけで処罰につなげることは、警察による日常的な市民の監視を招き、市民運動の侵害や萎縮を引き起こすものである。
さらに政府はこの法案の必要性として、テロ対策を目的としているが、日本は「爆弾テロ防止条約」などの国際条約を採択しているほか、同時多発テロ後の国内立法により、重大犯罪について現行法制下でも共謀罪が13、陰謀罪が8、予備罪が37、準備罪が8、すでに規定されていると国会論戦でも指摘されている。テロ対策のために新たな法整備が必要であるとは言えない。
そもそもイスラム国などの過激派組織は、アメリカとともに武力行使する国を敵とみなしてテロ攻撃を行っている。政府の主張するようなテロ対策に正面から取り組むのであれば、アメリカの戦争に参加することを目的とした安保法制を廃止し、憲法9条を遵守し、武力行使をしないことを世界に示すことが最大のテロ対策である。
われわれはいのちと健康を守る医師・歯科医師の団体として、広範な市民と社会保障を守る運動に取り組んでいる。内心を取り締まりの対象とする危険性をはらみ、市民運動の委縮につながる「共謀罪」法案に反対し、憲法を活かした外交とテロ対策を実践するよう強く求める。