兵庫県保険医協会

会員ページ 文字サイズ

トピックス

トピックス

【決議】兵庫県保険医協会 第92回評議員会

2017.11.19

兵庫県保険医協会 第92回評議員会決議
 

 

 安倍首相は臨時国会冒頭で衆院を解散した。野党4党による憲法53条に基づく臨時国会召集の要求を放置した挙句、召集した臨時国会を冒頭で解散したことは憲法違反の暴挙である。

 選挙の結果は、与党批判票の分散などにより自民党が大勝し、公明党とあわせ3分の2以上の議席を維持した。また、立憲民主党と共産党、社民党が市民連合との共同を進めた結果、安倍政権に批判的な国民の選択肢となり立憲民主党が野党第一党となった。自公の補完勢力といわれた希望の党や維新の党は大敗した。

 選挙戦の中で、自民党は2019年10月の消費税率引き上げ時に、増収分の使い道を「国の借金返済」から「社会保障の充実」に振り向けて「全世代型社会保障制度」を構築すると訴えた。

 そもそも、私たちが指摘してきたとおり消費税収は「国の借金返済」や他の税収減の穴埋めに使われて、実際には社会保障の充実には使われてこなかった。「全世代型社会保障」などと称してもその中身は現在の社会保障費を抜本的に引き上げることなく、高齢者と子育て世代の対立をあおり、高齢者への負担増を正当化するものでしかない。財務省はすでに、来年度予算編成に当たって子育て世代支援のために500億円を社会保障費から捻出するとして、診療報酬を2%以上マイナス改定し、75歳以上の高齢者の医療費窓口負担を原則2割にするなどの医療制度改悪を打ち出している。

 今必要なことは、消費税増税ではなく、大企業や富裕層の応分の負担で、抜本的に社会保障費を増やし、診療報酬・介護報酬のプラス改定や子育て支援充実など社会保障を充実させることである。

 また、今回の総選挙では、憲法改定も大きな争点となった。自民党は公約で憲法に自衛隊を明記することなどを掲げた。第9条の第3項として自衛隊を明記すれば、現行の第9条1項・2項を空文化させ、日本国憲法の平和主義という基本精神を壊すことになる。また、これまでの安倍自公政権下で、集団的自衛権行使容認の閣議決定や特定秘密保護法、安全保障関連法、「共謀罪」法の制定などが強行されてきたことと合わせて考えれば、日本をアメリカとともに世界中で戦争できる国にする憲法改悪である。

 私たちは、いのちと健康を守る医師・歯科医師として、格差や貧困の拡大を許さず、世界の平和と国民の生活を守る政治を実現するために引き続き全力で奮闘する決意である。

一.  診療報酬・介護報酬を引き上げ、国民のニーズに合わせて医療や介護給付を拡大すること。

一.  患者・介護利用者負担増計画をやめること。子どもの医療費は中学3年生まで窓口負担を無料にし、高校3年生世代まで無料を目指すこと。

一.  消費税の10%増税を中止し、医療にはゼロ税率を導入して医療機関の控除対象外消費税負担を解消すること。

一.  保険でより良い歯科医療実現のため、歯科技術料を正当に評価し、保険適用範囲を拡大すること。

一.  高すぎる国保保険料を引下げ、短期保険証や資格証明書の発行をやめ、不当な差押さえを行わないこと。

一.  薬価の高止まりや混合診療の全面解禁へと道を開く可能性のある日米2国間協議を行わないこと。

一.  東日本大震災や熊本地震など災害被災者に対し国の責任で支援を抜本的に強めること。

一.  再稼動した原発を直ちに停止するとともに、さらなる再稼働・新増設・輸出を行わず、原発ゼロ政策の推進、再生可能エネルギーの拡大を進めること。

一.  沖縄・普天間基地を無条件撤去し、辺野古沖への新基地建設計画を中止するよう米国に求めること。

一.  平和憲法を守り、憲法通りの国づくりをめざすこと。

一.  日本政府は唯一の戦争被爆国として核兵器禁止条約を批准するとともに、核保有国など条約を拒否する国に批准を求めること。

 

 以上、決議する。

2017年11月19日 兵庫県保険医協会