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主張 憲法施行71年 日本国憲法を大切に護りぬこう
2018.04.25
森友・加計学園問題や働き方改革関連法案をめぐる政府の文書改ざん疑惑、データ捏造問題により、安倍内閣の支持率が急落しているが、首相は「結党以来の課題である憲法改正に取り組む時が来た」と憲法改正に執念を燃やしている。
安倍政権に改憲を語る資格はない
日本国憲法前文では「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」、「主権が国民に存することを宣言し」とされており、代表民主制と国民主権が規定されている。この国民主権と代表民主制の関係について、憲法学的には、国会は「社会学的代表」であるとされ、国会の意思と主権者たる国民の民意の一致が求められている。つまり、現在のように民意と大きく乖離した国会は憲法上問題である。また当然ながら、安倍内閣が憲法で規定された国会の最高機関性を蔑ろにする虚偽の答弁を行うことも憲法上大きな問題である。
とりわけ昨年の解散総選挙は、森友学園問題について野党の追及に窮した安倍政権が、国会の追及をかわすために強行したものである。改ざんした文書を基に答弁し、国民に真実を伝えないまま選挙を強行したことは、国民主権をないがしろにするものであり、安倍政権の憲法軽視の姿勢が表れている。このような政権と与党に憲法を語る資格がないことは明白である。
自衛隊の憲法明記は許されない
自衛隊の日報問題をめぐり、防衛大臣が一週間に3回も謝罪しなければならない事態が続いている。イラクに派遣された陸自の日報は〝なかった〟〝見つからなかった〟〝あった〟〝あったが政府に報告されていなかった〟...こうも事態がころころ変わるものか。
そもそも自衛隊には「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」と記した憲法66条に基づく「文民統制」の原則がある。これは戦前の日本政府が軍部の暴走を抑えられなかったため、戦争の道を突き進んでしまったという教訓から生まれた。この間の一連の事態は、政府が自衛隊という実力組織をコントロールできていなかったということであり、「文民統制」ができていないということだ。
安保関連法で自衛隊は米軍と共同軍事行動をとるようになったが、その詳細は公表されておらず、何を行っているかがチェックできない。この状況で「文民統制」が取れなくなることは非常に危険である。このような組織を憲法に書きこめば、さらなる暴走を招く可能性が高く、許されることではない。
今年も憲法記念日が近づいてきた。一人ひとりの国民が大切にされ、平和で豊かな暮らしが送れるよう、その礎となる日本国憲法を大切に護りぬこう。