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【決議】兵庫県保険医協会 第96回評議員会決議

2019.11.17

兵庫県保険医協会 第96回評議員会決議
 

 

 政府は日本の医療・社会保障制度を大きく改悪しようとしている。安倍晋三首相は新たに全世代型社会保障検討会議を立ち上げ、年内に介護・年金制度改革をまとめ来年の通常国会に法案提出するとしている。医療分野については、来春までに改革案をまとめそれ以降の国会に法案を提出する方針である。その中身は患者負担増と給付削減である。また、こうした制度改悪に先駆けて、来年4月に控える診療報酬改定について、すでにマイナス改定と報じられている。2014年以来実に3回にわたって診療報酬は引き下げられ、我々医療機関の経営は苦しさを増している。

 医療提供体制では、厚生労働省が424の公立・公的医療機関を「再編統合」の対象とすることを明らかにした。医師の働き方改革では、一部勤務医の時間外労働時間の上限を1860時間までとし、時間外労働の削減については、医師数を増やすことなく、診療報酬上の手当ても行わず各医療機関に責任を押し付けようとしている。

 結局、政府は、患者・利用者負担を引き上げるとともに、診療報酬や病床、医師数を抑制し、社会保障費を抑制しようとしている。これでは、医療崩壊を加速させることになる。政府は、医師数を増やし、診療報酬を大幅に引き上げ、いつでも、どこでも、だれでもが、安全・安心で質の高い医療を受けられるために、医療費抑制政策を転換すべきである。

 政府は、多くの国民の声を無視し消費税増税を強行した。このままでは、国民生活のさらなる困窮は必至である。そもそも消費税で得られた財源は、法人税や所得税の税収減と相殺され、社会保障の充実には使われていない。今必要なことは、増税を撤回し、大企業や富裕層の応分の負担で、抜本的に社会保障費を増やすことである。

 政府は、辺野古沖での米軍新基地建設を強行したばかりか、中距離弾道ミサイルの沖縄配備を計画する米国と協議を始めた。また、ホルムズ海峡周辺に海上自衛隊を「調査・研究」を名目に独自派遣することを決めた。さらに安倍首相は、所信表明演説で、改憲について「しっかりと議論していく。国民への責任を果たそうではないか」と呼びかけ強い意志を示した。これらの動きは戦後、日本が国是としてきた平和主義を抜本的に転換し、米軍ととともに世界中で軍事行動ができる自衛隊を目指すものである。

 我々はいのちと健康を守る医師・歯科医師として、全ての人が健康で幸福な生活を営める世の中を実現するために、引き続き全力で奮闘する決意である。

一、診療報酬・介護報酬を引き上げ、不合理是正を行なうこと。

一、医師不足を解消するため医師数をOECD平均まで引き上げること。

一、患者・介護利用者負担増計画をやめること。少子化対策としても子どもの医療費は国の責任で中学3年生まで窓口負担を無料にし、高校3年生世代まで無料を目指すこと。

一、保険でより良い歯科医療実現のため、歯科技術料を正当に評価し、保険適用範囲を拡大すること。

一、消費税の10%増税を撤回し、医療にはゼロ税率を導入して医療機関の控除対象外消費税負担を解消すること。

一、高すぎる国保保険料を引き下げ、短期保険証や資格証明書の発行をやめ、不当な差押さえを行わないこと。

一、一部医薬品の高薬価を是正するとともに、日常診療に不可欠な医薬品について安定供給できるように適正な薬価を設定すること。

一、患者の個人情報漏洩リスクを高めるとともに、患者・医療機関の統制を強めるマイナンバーの医療分野における利用拡大を止めること。

一、生活保護基準額の引き上げや捕捉率の向上など生活保護の制度を改善すること。

一、薬価の高止まりや混合診療の全面解禁へと道を開く可能性の高い日米2国間協議を行わないこと。

一、東日本大震災をはじめこの間の災害被災者に対し国の責任で支援を抜本的に強めること。

一、再稼働した原発を直ちに停止するとともに、さらなる再稼働・新増設・輸出を行わず、原発ゼロ政策の推進、再生可能エネルギーの拡大を進めること。

一、沖縄・普天間基地を無条件撤去し、辺野古沖への新基地建設計画を中止するよう米国に求めること。

一、日本の主権を制限している日米地位協定を抜本的に見直すこと。

一、日本政府は唯一の戦争被爆国として核兵器禁止条約を批准するとともに、核保有国など条約を拒否する国に批准を求めること。

一、平和憲法を守り、憲法通りの国づくりをめざすこと。

 

 以上、決議する。

2019年11月17日 兵庫県保険医協会