兵庫県保険医協会

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【声明】診療報酬マイナス改定に抗議する

2020.01.11

内閣総理大臣 安倍晋三殿
2020年1月11日
兵庫県保険医協会 
第1105回理事会

診療報酬マイナス改定に抗議する

 政府は昨年12月17日、2020年度診療報酬改定について、本体プラス0・55%、薬価マイナス0・99%、材料価格マイナス0・02%、全体でマイナス0・46%とすることを決めた。社会保障費の抑制路線のもと、安倍政権で4回連続のマイナス改定となる。

 診療報酬は、国民が公的医療保険で受けられる医療の質と範囲、量を規定するものであるとともに、医療機関が非営利で必要十分な医療を患者、国民に提供するための原資である。この間の度重なる診療報酬のマイナス改定は、入院患者に早期退院を促したり、必要なリハビリを途中で打ち切ったりせざるを得ないなど、患者負担増と相まって、患者、国民が安心して必要な医療を受けられない状況を生みだしている。

また、医療経済実態調査結果から明らかなように、医療機関の経営は厳しい状況が続き、医療従事者の給与水準は低いままにとどまっている。このような医療費抑制策のもと、医療現場は医師ら医療従事者の長時間過密労働によって支えられている。政府は「医師の働き方改革」の必要性を強調し、本体改定率プラス0.55%のうち、0.08%は「消費税財源を活用した救急病院における勤務医の働き方改革への特例的な対応」としているが、働き方の改善に必要なのは一時的ではなく恒常的な措置である。

 今次改定では、薬価・材料の引き下げ財源の診療報酬本体への振替が行われなかった。2014年から4回連続であり、今回は発表資料から「本体」との表現がなくなった。薬価・材料費を診療報酬の外枠としようとの思惑が透ける。しかし、この振替措置は、1972年の中医協建議以来、厚生(労働)大臣や首相が公式に合意し、医療制度の改善のために尊重してきたものだ。働き方改革を言うならば、高薬価が社会的な問題になっているなか、より一層この財源を診療報酬本体に振り向けるべきである。

 そもそも、「社会保障改善のため」と国民に消費税増税で重い負担を課しながら、「消費税財源を活用した」対応が一時的にとどまるのは、これが法人税減税などの穴埋めに使われ、社会保障充実に使われていないということを示唆している。大企業や富裕層へ適切な課税を行い、医療・社会保障の充実を行うべきである。

 診療報酬を大幅に引き上げ、公的医療を提供する医療機関の経営を安定させ、窓口負担を軽減することこそ、すべての国民が、その支払い能力に関係なく、安全・安心で質の高い最適な医療を受ける、という公的医療保険の基本的方針である。私たちはマイナス改定に抗議し、診療報酬大幅引き上げと患者窓口負担の引き下げを求める。

以上