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主張 2020年度診療報酬改定 国民皆保険守る運動に
全会員で取り組もう
2020.04.25
本年4月の診療報酬改定は全体でマイナス0.46%となった。初・再診料や入院基本料は全く引き上げられず据え置かれた。内容も「かかりつけ機能の評価」と称して医療機関を分断評価し、入院料では急性期病床のさらなる絞り込みが狙われている。
歯科では「骨太の方針2019」で「歯科重視」を掲げていたが、改定率は前回を下回るプラス0.59%に過ぎないものとなった。さらに金パラ「逆ザヤ」も解消されず歯科医療危機の打開にはほど遠い。
今回より「診療報酬(本体)」から「本体」の文言を除き、単に「診療報酬」と表記された。これに従うと「診療報酬」は「安倍政権下で4回連続のマイナス改定」から「過去7回連続のプラス改定」となる。このゴマカシを許してはいけない。
また、財務省の思惑通り、薬価改定財源は一般財源化され、本体に充当されないままである。過去の中医協の建議にあるように、医療を支える費用として全体をとらえ、薬価・材料価格マイナス部分はこれまで通り本体に回すべきである。
繰り返しになるが、診療報酬は、国民が受けられる公的医療の質と量を決める一方で、26万人の医師、160万人の看護師、医療従事者等を合わせて約300万人の給与の原資である。また医薬品・医療材料費、委託費などを介して40兆円産業を支えている。社会保障分野の「総波及効果」は公共事業より高く、「雇用誘発効果」も主要産業より高い。つまり、医療・社会保障の充実は、国民に安全、安心、質の高いサービスを提供するだけでなく、労働集約的であるがゆえに、生産・雇用を効果的に拡大し、地方創生や経済成長にも寄与する。
医療費抑制の供給側対策としては診療報酬減と急性期病床数削減がある。今回新型コロナウイルス感染拡大に苦しめられているイタリアでは、2007年の金融危機以降、欧州連合から財政規律を課され、財政赤字と巨額累積債務を減らすため、医療費抑制が行われた。かかりつけ医との連携・役割分担を強化し、病院は効率化の下で統廃合されたが、進む方向は日本と同じだ。
もう一つの医療費の需要側抑制の柱は「患者窓口負担増」である。
日本の医療は高齢化に比して低い医療費と、医師の過労死に迫る長時間労働と使命感の上に成り立っている。診療報酬「減」と窓口患者負担「増」は国民皆保険制度形骸化への入り口に他ならない。「診療報酬引き上げ」と「窓口負担軽減」は、協会の二つの目的である「開業保険医の経営と生活、権利を守る」「国民医療の充実と向上をはかる」ために欠かせない活動である。全会員で進めていこう。