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抗議声明 政府の福島第一原発汚染水の海洋放出決定に強く抗議する 兵庫県保険医協会 第1132回理事会
2021.04.24
環境・公害対策部は4月24日の第1132回理事会で、政府が東京電力福島第一原発から発生している汚染水を海洋放出で処理すると決定したことに対して、抗議声明を採択し、関係機関に送付した。
政府は4月13日、東京電力福島第一原発から発生している汚染水の処理について、海洋放出を決定した。福島県民や全国の国民、漁業者の多くが反対の声を上げる中での、この決定に強く抗議する。
これまでに原発周辺でのトリチウム排出影響について詳細な生物学的調査や健康影響調査は行われておらず、トリチウムの安全性は明確にはなっていない。世界各国の原発がトリチウムを排出しているからと言って、容認されるべきではない。政府は、陸上での保管延長について保管場所の確保が困難であるかのような印象操作を行い、海洋放出の結論ありきで議論を進めてきたが、デブリの取り出しの目途がいまだつかない現状において、現有施設の用途変更や周辺地の購入などによるタンク増設用地の確保はそれほど困難なものではない。
さらに現在タンクに保管されているALPS処理水の約7割は、処理が不十分でトリチウム以外の放射線物質が基準を超えて含まれている汚染水である。東京電力は今後放射性物質の濃度を下げた上で、海洋に放出することとし、生じた風評被害については賠償するとしている。しかし、汚染水の再処理しながらの廃棄では、実質貯蔵タンクの減量はさほど進まず、海洋投棄を開始してもなお、タンクの増設が必要との試算もある。また、同社は、処理が不十分であることについてメディアに指摘されるまで積極的に説明を行っておらず、原発事故被害者に対しても十分な賠償を行っていない。さらに先日、柏崎刈羽原発で核物質防備の重大な不備が判明し、運転禁止命令を受けており、このような企業に汚染水処理を任せることはとてもできない。ALPS処理水は汚染水であり、現状では実害が風評被害に転化・矮小化されていく可能性がある。
われわれは、いのちと健康をまもる医療者として、健康被害を軽視し、世界中に放射性物質をばらまく懸念のある汚染水の海洋放出の決定を撤回し、再検討することを政府・経済産業省に強く求める。