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【決議】第99回 兵庫県保険医協会評議員会決議
2022.05.15
第99回 兵庫県保険医協会評議員会決議
新型コロナウイルス感染症の蔓延は、これまでの歴代政権が採ってきた医療費抑制政策による医療提供体制の脆弱性を露わにした。にもかかわらず、岸田自公政権は、4月に行われた診療報酬改定でマイナス改定を強行。その上、10月には75歳以上の高齢者の医療費窓口負担2倍化を強行しようとしており、コロナ禍を教訓として医療・社会保障を充実させるという私たちの要求に背を向け続けている。
また、国民生活の困窮も深刻である。コロナ禍による景気の低迷はもとより、物価高により国民の可処分所得は減少を続けている。こうした中、岸田自公政権は、抜本的な対策をとらないばかりか、年金の引き下げを強行した。国民生活を守るため、年金の引き下げを中止するのはもちろん、世界各国で行われているように消費税の引き下げを行うべきである。
またウクライナ危機は世界中に暗い影を落としている。ロシアのウクライナ侵攻は国際法と国連憲章に違反するもので、決して許すことのできない歴史的蛮行である。このロシアの行動は、集団的自衛権が常に戦争の理由とされること、核抑止力論が机上の空論で実際には核兵器は核保有国の侵略の道具でしかないことを明らかにした。しかし、日本国内では一部の政治家らがこの危機を奇貨として、日本の核武装や核共有、憲法9条の改定、防衛予算の大幅増額を訴えている。また、アメリカの元高官らも日米同盟の強化を訴えている。このような日本のさらなる軍事大国化は、東アジアの軍拡競争に拍車をかけるもので地域や世界をさらに不安定にするものである。
7月には参議院選挙が実施される。私たちはいのちと健康を守る医師・歯科医師として、この選挙を要求実現の絶好の機会と捉え、日本のさらなる軍事大国化を許さず、社会保障の充実で持続可能な経済社会をつくるため、全力で奮闘する決意である。
記
一. 未知の新興感染症に備えるためにも医療費抑制政策を転換し、公衆衛生体制や医療提供体制を抜本的に強化すること。
一. 新型コロナウイルス感染症に伴う医療機関の減収に対し、18年度診療報酬請求額に基づく減収補填を認めること。
一. 診療報酬・介護報酬を引き上げ、不合理是正を行なうこと。
一. 医師不足を解消するため医師数をOECD平均まで引き上げること。
一. 患者・介護利用者負担増計画をやめること。少子化対策としても子どもの医療費は国の責任で中学3年生まで窓口負担を無料にし、高校3年生世代まで無料を目指すこと。
一. 保険でより良い歯科医療実現のため、保険適用範囲を拡大し、歯科技術料と歯科技工料を正当に評価するとともに逆ザヤとなっている金パラの保険償還価格を是正すること。
一. 消費税を減税し、医療にはゼロ税率を導入して医療機関の控除対象外消費税負担を解消すること。
一. 高すぎる国保保険料や介護保険料を引き下げ、不当な差押さえを行わないこと。
一. 一部医薬品の高薬価を是正するとともに、国の責任で日常診療に不可欠な医薬品の安定供給を行うこと。
一. 医療現場に混乱をもたらし、患者にも医療機関にもメリットのないマイナンバーカードによるオンライン資格確認の導入を中止すること。
一. 生活保護基準額の引き上げや捕捉率の向上など生活保護の制度を改善すること。
一. 東日本大震災をはじめこの間の災害被災者に対し公的補償を強めること。
一. 再稼働した原発を直ちに停止するとともに、さらなる再稼働・新増設・輸出を行わず、原発ゼロ政策の推進、再生可能エネルギーの拡大を進めること。
一. 東電福島第1原発事故で発生した放射能汚染水について地元合意のない海洋放出は撤回し、再検討すること。
一. 震災復旧作業等で飛散したアスベストの曝露を受けた人に対する健診や補償を充実させるとともに、老朽化した建築物の解体時等におけるアスベストの適切な管理を行うこと。
一. 沖縄・普天間基地を無条件撤去し、辺野古沖への新基地建設計画を中止するよう米国に求めること。
一. 日本の主権を制限している日米地位協定を抜本的に見直すこと。
一. 日本政府は唯一の戦争被爆国として核兵器禁止条約を批准するとともに、核保有国など条約を拒否する国に批准を求めること。
一. 国は、日本国憲法を堅持するとともに、三権分立を蔑ろにせず、「個人の尊重」と「法の支配」を中核とする立憲主義に基づき、国民主権・基本的人権の尊重・恒久平和主義など憲法の基本原理を尊重すること。
一. 日本政府はロシアによるウクライナ侵攻の事態打開のため非軍事的外交努力を強めること。
以上
2022年5月15日 兵庫県保険医協会